産学交流セミナー   平成15年3月7日(島根大学)
     
中国地質調査業協会島根県支部 技術委員会主催で島根大学との交流セミナーが開催された。
今回のテーマは「土壌・地下水汚染」であった。

講演題目

@「土壌汚染調査および対策にたずさわって」
      島根大学教育学部 松本一郎 先生

A「土壌汚染調査サンプリング機器について」
      東邦地下工機(株) 中尾 孝 課長代理

B「地質汚染と調査浄化ビジネスに潜む技術リスク−地質環境学の役割」
      和田技術士事務所(東京) 和田信彦 代表

演題@は民間時代に実際に経験された事例をもとに、汚染対策における企業の姿勢と行政のたずさわり方、処理方法などを紹介していただいた。
現実問題としてはコスト的障害が大きいようであるが、消極的な対応をするリスクと積極的、誠意的に対処するメリットの何れを選択するかであるが、企業のモラルハザードが問われる今日にあっては結論は明確であろう。
自主的計画的土壌調査が求められているわけであるが、ここに、費用負担であるとか浄化レベルの設定をどのようにするのかとか、社会的に公表する場合の受け止め方など諸問題をかかえていることが分かった。

演題Aはボーリングメーカーからの土壌汚染調査用のサンプラーの紹介であった。
閉塞式の先端のコーンで土壌に貫入して、目的の深度までクリーンな状態を保ったままでサンプリングできるというものであった。
ハード部門でも汚染土壌調査への取り組みがなされているが、現場サイドからのサポートがあればますます進化してくるものと思われる。

演題Bは土壌汚染に関して地質屋の視点からのアプローチを提唱されたものである。
環境汚染に関る法律や細部にわたる基準値の紹介や土地の評価に関する問題をとりあげつつ、土壌汚染に関しては地質学部門から積極的な取り組みがこれからは必要ではないかとの提言があった。
土壌汚染の疑いがある地点の特定及び拡散メカニズムなどを地層学の手法で科学的に実証した例を実際の調査ボーリングを参考に説明を受け、オールコアボーリングの必要性についても言及された。
また、安易に汚染対策ビジネスに参入して未熟な技術で汚染を拡散させてしまうリスクが伴うこともあり、専門的知識と客観的評価基準の必要性があること、地質汚染浄化除去診断基準に従って厳格にかつ適用し、汚染除去対策を行う企業が倫理観もって第3者機関の審査をうけ積極的に情報公開すべきであると説かれた。