土質試験について

SI単位 1kgf≒9.81N
1N≒0.102kg
桁数表示例
99.9kN/m2
1000kN/m2=1MN/m2
1kN/m2≒0.0102kgf/cm2
1MN/m2≒10.2kgf/cm2
※コンクリート指示書ではN/mm2を使用することになっています。
概略100kgf/cm2は10N/mm2ということになります。
土質試験と
   試料採取
正確な地盤情報がないと施工時にどのようなトラブルが発生するか予測できなし、発生ししたトラブルに対処できないので、土質に関する情報は、設計や施工の精度と密接な関係があるといえます。
土質試験と試料採取は切りは離せない関係にあり、試料採取にはまず観察が行われ、粒度組成・混入物・成層状況・硬さ・色調、などがわかります。
しかし、これだけでは必要な土質定数は求まらないので、せん断特性や圧密特性を求めますが、これらの試験については最上級の乱れのない品質が要求されます。乱れの表記については以下のようなものがあります。
  @乱れていない
  A少し乱れ
  Bかなり乱れ
  C完全な乱れ
これらの乱れとは使用するサンプラー、及び適応する土質と密接な関係があり、対応できる土質試験にもかなり影響されます。試料採取ではボーリンク孔を利用するケースが多く、以下のようなことが乱れの原因となると指摘されています。
  ・試料採取時に考えられる乱れの例・
    @ボーリングによる孔底地盤の乱れ
    Aサンプリングチューブの変形もしくは破損
    Bサンプリングチューブの無理な押し込みによる試料の変形
    Cサンプラー引き上げ時の引っ張りまたはねじり変形
    Dサンプラー解体時に衝撃及び振動
    E試料運搬時の衝撃や振動
  ・室内試験時に考えられる乱れの例・
    @試料の押し出し時または、無理な成形による変形
但し、原位置から試料を切り出す以上、必要最低限の乱れは避けられません。
応力解放に伴う試料の内部変化は避けられないので、やむをえない乱れは普通、乱れと言わないようで、乱れの要因は人為的な衝撃、振動、変形、温度変化などです。
含水比 土の含水比は110℃の炉乾燥によって失われる水分量と土の乾燥質量比を百分率で示したものを言い全ての試験時に必ずといっていいほど利用されます。
含水比は、土の強度の強弱・粘性・土粒子の構成要素などが推測されるので、土の種類の判断材料の重要な指標になります。概略の土の種類と含水比の関係を以下に示します。

 腐植土⇒300〜100%
 沖積粘土⇒50〜90%
 洪積土⇒30〜50%
 砂⇒8〜15%
 礫⇒2〜5%
土粒子の密度 土の中には土粒子(固体部)と水や空気などが含まれるが、この土粒子の密度は、固体部だけの単位体積あたりの質量を言います。固体部の体積を求める為に、ピクノメーターを用います。
   定義  ρs=ms/Vs(ms:試料の炉乾燥質量 Vs:炉乾燥質量の体積)
定義はいたって単純ですが、質量を求める為には精密な計りが必要となるため、当組合では1000分の1グラム単位で計測できる上皿式電子天秤を用意しています。また、計測時の試料の温度により結果が変化するので、なるべく年間を通じて温度差を大きくしないように注意しています。
尚、土粒子の密度は1990年に従来、土粒子の比重Gsと言っていたものを名称と定義を変更したもです。
粒度試験 粒度試験は、土の粒径分布を求める試験を言います。粒度分布を求める事により、土の工学的分類が可能となります。粒径分布(粒度分布)とは、土粒子の粒径毎の分布を粒径加積曲線で示したものを言います。
土質材料としての粒径は75mmの礫から5μm以下の粘土(コロイド)までを言い、75mm以上の礫は石分として区分して粒径加積曲線には入りません。礫は75mm以下2mm以上・砂は2mm以下75μm以上・細粒分は75μm以下と区分されています。
フルイの目を通過させて質量を測るのは75μm(微細砂)以上であり、細粒分については沈降分析によって粒径を求めます。粒径加積曲線の通過率60%・50%・30%・10%を求めることによって、粒径の分布を数値として表すことができ、均等係数・曲率係数の算出ができます。また、D10%は有効径と呼ばれ透水性の推定にも利用されています。砂の地盤では地震時の液状化が問題になることがありますが、砂の粒度分布は液状化の判定にも利用されます。
液性限界
塑性限界
土は水分の多寡にて、(固体)-(半固体)-(塑性体)-(液体)と、状態が変化します。これらの移り変わり(コンシステンシー限界)を測定する試験法を考えたのがアッタ―ベルクで、アッターベルク限界とも言います。
液性限界とは、塑性状態の最大の含水比(液状になる最小の含水比)であり、塑性限界とは、塑性状態の最小の含水比のことです。
せん断特性 土が外部からの作用を受けて変形しようとする時にせん断面にそって破壊しようとするので、単に土の強度という場合、この土が示す最大のせん断抵抗をせん断強さと言います。せん断試験には数種類の試験方法がありますので、目的に添った試験方法を選択する必要があります。
一面せん断試験 一面せん断試験は、直接せん断試験といわれる試験で、上下に分かれた箱の中に試料を設置して、垂直圧力を載荷しながら片方の箱を移動させることによって試料をせん断し、垂直圧力σとせん断強さτからC・φを求めることができる試験です。
試料の量が少量ですむことや、比較的簡単な試験であるとの認識があるので、現在でも試験の依頼があります。
従来型の一面せん断試験機では、非排水せん断試験が事実上できないことなど多々の欠点が指摘されていましたが、当センターでは、三笠式の改良型一面せん断試験機を使用しています。この試験機では、垂直応力が制御できるため等体積の制御を保ちながら、せん断試験が可能となっています。
一軸圧縮試験 一軸圧縮試験は、間接せん断と言いわれる試験で、三軸圧縮試験とともに当センターでも一番多い試験です。
一軸圧縮は通常円柱状の供試体を上方向(または、下方向)から圧縮して、この圧縮強さから間接的にせん断強さを求める試験で、乱さない試料であれば、現状の非圧密非排水条件の強度が測定できます。
沖積粘土などの不撹乱試料の試験では、一般的にこの試験を行います。
地盤が工学的に必要な強度を満たしていない場合、安定処理を行い、一軸圧縮をすることもあります。
三軸圧縮試験
(UU)
(CU)
(CUb)
(CD)
三軸圧縮試験は、供試体をゴムスリーブで被膜した後、三軸室内に水を満たし水圧をかけることにより、供試体に側方から均等に一定の圧力を加える事ができます。また、供試体の上・下には水を通すような仕組みになっており、供試体の間隙水の制御も可能になっています。
土の強度を測定する上で、供試体への水の出入りは重要な要素になるので、施工目的に合致した状態の土質定数を求める事ができる優れた試験方法です。
当センターでも依頼の多い試験です。試験方法と適用は、以下の通りです。

@非圧密非排水試験(UU)
比較的透水性の低い土が排水をしないで荷重をかけて圧縮強さを求めます。
通常、飽和粘土の場合には間隙水圧が発生するので、側圧の増加がただちに強度の増加とはならないので、一軸圧縮試験をすることが多いです。
不飽和土の場合は空隙に圧密作用がはたらき、結果的にCU条件と近似した値になることがあります。

A圧密非排水試験(CU)・(CUb)
圧密を行ったのち、せん断強さの増加分を調べることができます。
CUbarはせん断中に試料の間隙水圧を測定して、有効応力解析に利用します。飽和粘土でCD試験を行うかわりにCUbar試験を行うことがあります。
また、原位置での有効応力を三軸室で作用させたのち、圧縮強さを求める簡易型のCU試験もあります。(厳密なK0圧密ではないために簡易型と呼んでいます)

B圧密排水試験(CD)
圧密を行ったのち、過剰間隙水圧が発生しない条件で圧縮試験を行います。
圧縮過程で間隙水を排水させるので、砂のような透水性のよい土に適用される事が多いですが、粘性土でも緩速施工が想定される場合には適用できます。
圧密特性 土は実質部である土粒子と間隙部分の水(もしくはガス)からなりたっています。
土が圧密を起こすのは、間隙部分が小さく減少することによるので、この間隙の減少量を測定するのが圧密試験になります。
圧密試験で求まるのは、圧縮性や体積圧縮係数・圧密係数などの土の圧密特性になります。
圧密試験 JISによる標準圧密試験は、直径60mm・高さ20mmの供試体を1段階につき24時間を8段階載荷して、一次元圧密を行わせる事になっています。載荷の圧力は、通常9.8kN/m2〜1256kN/m2が標準的な圧密圧力となっています。
締固め試験 締固め試験は、通常は土の含水比を変化させ、動的に同じ条件で突き固める事により、最大の乾燥密度(ρdmax)とその時の最適の含水比(Wopt)を求める事を目的とします。
突固め試験方法は目的によって締固めエネルギー量を変える必要があり、土によって湿潤法・乾燥法・繰り返し法・非繰り返し法と多種の組み合わせがありますので、適用にあったては注意が必要です。
CBR試験 CBR試験は、路床の指示力を求め舗装厚の設計をするために行われます。
試料は自然含水比の状態で、モールド(15cm)・ランマー(4.5kg)を使用し、締固めは67回/3層で供試体を作成します。
供試体は、水浸(水浸には、有孔底板・有孔荷重板・吸水膨張試験用のダイヤルゲージを使用)を4日間行います。その後、貫入試験(50mm×200mmのピストン使用)を行い、貫入量2.5mm、5mmの時の荷重強さを求めます。
荷重強さ÷標準荷重を%であらわしたものをCBR(%)と言います。
この試験はアスファルト舗装厚を設計するための試験であり、設計CBR試験と呼ばれています。
路盤材や路床土の評価として行う試験には、修正CBR試験があります。
試料は、最適含水比の状態で、締固めは92回/3層・42回/3層・17回/3層で供試体を作成します。
事前に求めてあった突固め曲線と各回数ごとのCBR値を併記して所定の乾燥密度に対応するCBR値を求めるのが修正CBR(%)です。これにより、目標のCBR値を達成するためにはどれくらいの密度管理が必要であるかがわかります。
CBR試験は以下のことについては留意されるべきとの指摘があります。
@CBR2%以下の軟弱土の場合はコーンぺネトロメーターを利用して路床の評価をしたほうがよい。
A2.5mmと5mmの貫入値を何れを採用すべきか。すべての試料で5mmが大きければ5mmを採用する。
(この場合には特に供試体をつくり直す必要はない)
B原点修正が5mm以上なら再試験を行う。
C貫入曲線が円弧で明確な直線部分がなければ原点修正の必要はない。